塚崎愛さんのアトリエを訪ねて
暖かな日差しに春の訪れを感じる3月のとある日に、陶磁器作家・塚崎愛(つかざきめぐみ)さんのアトリエにお邪魔しました。
塚崎さんは2015年に「megumi tsukazaki」を設立。
「水のような 空気のような 静かな陶」をコンセプトに、代表作のジュエリーベースをはじめ、器・小箱・アクセサリーなどを制作されています。
マンションの2階にあるアトリエ。
作業台やろくろ、その奥の部屋には作品が並んだ棚や窯が設置してあり、普通の家の中にアトリエがある、なんだか不思議な空間でした。
塚崎さんが「好き」なこと
古いもの、茶色いもの、セレクトショップが好きで、実際に制作されている作品も塚崎さんご自身が「好き」なものだそうです。
例えば、貫入の作品。こちらはコーヒーで染められており
どこかフランスアンティークのような趣きがありますよね。
オルネのWEBショップでお取り扱いしております、ジュエリーベースなどの作品もインテリアに馴染むような作品で、器屋さんよりはセレクトショップでのお取り扱いが多いとか。
塚崎さんの「好き」に共感する人が、塚崎さんの作品のファンになり、作品に対する「好き」「可愛い」がどんどん広がっていくのかもしれませんね。
かくいう私も、友達からの誕生日プレゼントで塚崎さんのカップをもらって、塚崎さんの作品が「好き」になって、カップやプレートだけでなく、ジュエリーベースやアクセサリーも「好き」になって、さらには塚崎さんの作品を扱っているお店も「好き」になリました。
こうして「好き」が連鎖していく感覚は皆さんにもあるのではないでしょうか?
作品ができあがるまで
アトリエでは、実際に作品作りの様子を見せて頂きました!作って頂くのは代表作であるジュエリーベース。
作業台はレトロな趣きのキャビネットに板をのせたもの。
椅子も古道具店にありそうな雰囲気ですよね。
古いものが好きという塚崎さんならではの作業スペースです。
まずは水分量を表面と中央とで均一にして、作りやすい水分量にする工程。
その後は菊練りという、粘土の中に残っている空気の粒を抜く工程です。
菊練りを終えて土の準備ができたら、ろくろにのせて成形していきます。
ろくろを回す音が静かに聞こえる、とても穏やかな空間でした。
少し高さを出して、上の部分をラフな感じにカットします。
ある程度の深さがないと、釉薬が青みがかった綺麗な色にならないそうですよ。
さらに上の部分をラフな仕上げにすることで、水面のような瑞々しいガラス釉と素朴な白い土の器の対比が際立って、美しい作品に。
その後は乾燥→素焼き→釉薬かけ→乾燥→本焼きという工程を経て、作品は完成します。
幸せなひと時を過ごす
お昼になると、サンドウィッチをご馳走になりました♪
贅沢なことに塚崎さんご自身の器で、サンドウィッチとレーズンサンドを頂きました。
サンドウィッチは料理家さんとのコラボレーション作品の試作用として作られたものにのせて。
取皿にはオルネのWEBショップでもお取り扱いさせて頂きました「リム皿」を。
空気のようなさりげない存在感がある塚崎さんの器。
ほっと一息つきたい時に共にありたいような器だなあと改めて思いました。
朝、サンドウィッチをのせて、コーヒーを飲んだり。
おやつの時間にお気に入りのお菓子をのせたり。
そんなさりげない幸せのひと時が自然と目に浮かびました。
第2アトリエへ!
お昼過ぎに車で5分くらいのところにある、塚崎さんの第2アトリエ「Co-coya」を訪ねました。
「Co-coya」はフリーランスやリモート業務の方のためのコワーキングスペース兼、ある程度のスペースが必要な手仕事をする方のためのシェアアトリエです。
外から見ると時代を感じさせる一軒家、でも中に入ると麻炭の塗り込まれた土壁や洗い出しの土間空間となっています。
ここには塚崎さんの第2アトリエに加え、アトリエでご馳走になった
レーズンサンドを作ってくれたfood circusの藤嶋典子さんのキッチンもありました。
レーズンサンド。優しい甘みがあり、つい何個も食べてしまいそうな美味しさでした。
床やタイルは藤嶋さんご自身で貼られたとか。
右側には業務用の厨房機器、正面には調理器具や食器棚があり、塚崎さんの作品も。
まるで藤嶋さんのご自宅にお邪魔したような、柔らかな温かみのある空間でした。
1階には藤嶋さんのキッチンと塚崎さんのアトリエがあり、その間にコワーキングスペースがあります。 それぞれの独立した空間がありますが、お互いの様子を垣間見ることができ、町屋のような雰囲気を感じます。
サンルームを改造したアトリエには、マグカップがずらりと並んでいました。
「お互いが今どんなことをしているのか、なんとなくわかる空間だからこそ、自分自身のモチベーションに繋がります」とおっしゃっていた塚崎さん。
様々な価値観の人たちが出会って、同じ空間で活動することで、
囚われない発想かつ軽やかな感覚で作品作りができるのかもしれませんね。
「Co-coya」の皆さまは、まるで昔馴染みの地元の仲間のような、あたたかい雰囲気で素敵な関係性でした。
writing/kaoru ikeda
photo/satoshi shirahama