第3話 谷家の細部へのこだわりは、やっぱりすごい?

谷のこだわり1:天井高はゆずれない。

谷 前回、居住空間は2階にまとめた話をしました。
コンパクトにまとめる中で、リビングを広くとった分、余分なスペースが出来ないようにしようと考えました。いかに廊下を作らないかとか、寝るだけのベッドルームは狭くしてもいいかなとか。

それでも居心地が悪くないように、天井高は上げました。
これは海外の経験でわかったことなんですけど、フランスで住んでいた家も狭かったけど、天井が高いと狭さを感じなかったんですよね。Airbnbで他の家にも色々泊まって、心地よさの共通項は天井高だと気づいて。

トミタ フランスの天井高ってどのくらいあるんですか?

谷 3mあるところも結構ありますよ。

トミタ やっぱり高いんですね。日本だと平均的に2.4mぐらいなので。今のお家は…?

谷 3m!さらに1階は3.2m!

トミタ 高さのある土地に天井の高い家が建っているんですね(笑)。気持ちよさそう!

谷のこだわり2:日本の窓が嫌!サッシの縁は見えないように。

トミタ 住宅設備や機能でゆずれなかったこだわりはありましたか?

谷 大きい窓とサッシのデザイン。サッシの縁が見えるのがとにかく嫌で(笑)。
でも、いかに既製品感を無くすか、どう隠すかっていうテクニック論はどこにも書いてないんですよね。
海外の家とか建築家さんが建てた家の窓周りはなんでいいんだろう、というのを自分なりに考えて、僕は「縁がいけないんだ」ということに気がついたんです。ゆくゆくは壁を左官で仕上げようと思っていたので、今度はなんとかして目立たないようにするにはどうしたらいいんだ…!!と(笑)。

トミタ すごく研究されていたことが伝わります(笑)。

谷 縁をいかに見せないかにこだわっていたら、必然的にfix窓(開かない窓)が多くなりました。
開閉のための大きいハンドルや縦桟がどうも好きになれなくて引き違いは1ヶ所だけです。
本当はそれも嫌だったんだけど、奥さんから「何かあった時に脱出できる場所は必要」と言われて仕方なく(笑)。

サッシがほとんど見えない。窓から続く壁はRにした。

トミタ 2階は大型家具の搬入とかもありますからね(笑)。私はfixか小さい窓しかない間取りを見るとすごくドキドキします(笑)。
普段のお仕事でもそうですが、谷さんは「いいな」と思った理由を自分なりに見つけたり、共通項を考える探究心がすごく強いですよね。家づくりは考えることがありすぎるくらいですが、好きなイメージが集まったら、共通項を見つけたり、そのイメージの具体的にどこが好きなのか、少し踏み込んで分析してみるのはとてもおすすめです。優先したいことがわかりやすくなるし、決める時にもきっと役に立つと思います。

谷のこだわり3:マーモリウムの床と白い壁

トミタ 床や壁の素材はイメージしやすかったですか?

谷 床は建築家さんにPinterestを見せた時に、「モルタルの床にしたいんだね」って言われて。

トミタ いいなと思った写真にそういうイメージが多かったんですね。私も同じようにお客様がいいなと思っている写真から要素を抜き出してお話しすることがありますよ。

谷 そういうものなんですね。木造の2階にモルタルを使うのは重量的に重すぎるということで、最終的にはマーモリウムにすることにしました。抗菌作用があるし、意外にも天然素材で。凹みとか擦り傷みたいな問題はあるけど、実験的にやってみようということで実例は少ないけど取り入れてみました。

トミタ 素敵な仕上がりですね!オーソドックスなのはフローリングですが、思い切って素材を変えると印象が全く変わりますよね。確かにこの空間のイメージだったら、モルタルっぽい床は外せないですね。

谷 寝室と子供部屋にはフローリングを入れました。
フローリングも種類が色々あるので迷いましたが、お店や部屋づくりをして10年以上経つと「飽きない普通のものがいい」に戻ってきて。オークの床材を普通に貼りました。

トミタ 定番の強さってありますよね。壁はどうでしょう?

谷 リビング以外は全部真っ白に塗装しています。
難しいので天井だけはプロにやってもらって、それ以外は妻とパテ埋めをして塗装をやりました。

谷 「白で塗る」もフランスで学んだことですね。
フランスではある程度使って、汚くなると建具もスイッチもなんでも真っ白く全部塗るのが習慣なんです。
空間が明るくなるし、広く感じるし、まず一旦は全部真っ白に塗る。色が欲しくなったら、その時に追加で塗ればいいなという発想で。
天井の高い南向きの白い箱、住宅というよりはお店とかギャラリーっぽいところに住みたいんだなというのがわかったので、壁も「家」っぽすぎない感じにしたくてお店っぽい内装の感じで塗りました。住んでみて、この塗装で良かったなと思っています。

谷のこだわり4:目隠しという発想のお庭。緑の「色」にこだわる。

トミタ 土地選びの時に緑のあるところを優先していましたが、お庭にも理想がありましたか?

谷 いや、うちの場合は目隠しの役割でまず木を植えたっていうのが強いかな。
1年経っているころには1m以上伸びるだろうということで、更地になった時点で木を4本先に植えたんです。
お庭の理想は軽井沢の別荘なんですが(笑)。1階の窓から見える景色はなるべく緑で、建築物や生活感のあるものが見えないように…というのを意識しています。
あ、緑の色にはこだわったかな。深い濃い緑より、オーストラリア系の明るい緑が欲しいな、と思って。

トミタ 樹木のチョイスも悩まれているお客様をよく見かけますが、葉っぱの色で選ばれたんですね!

谷 そうですね。葉っぱの色とか、枝も太くて強いものより、細く繊細なものが心地いいなと思って選んでいます。
ただ、つい同じような植物ばかりになって困っています(笑)。

 

つづく>>

2023.4.21

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