僕も作ろうと思ったゲストルーム。「fog linen work」オーナー・関根由美子さん〈後編〉
「自分の好きな世界観」や「自分らしさ」を大切にして暮らす方の住まいにスポットをあてる企画「おうち、おじゃまします」。当店のオーナー・谷が、その方のお宅へ伺い、家や暮らしに対するこだわりや考え方についてお話をお聞きします。
第１回は、「fog linen work」オーナー・関根由美子さんです。後編では、ゲストルーム&ベッドルームをご案内いただきます。
関根 由美子さん
岩手県盛岡市出身。リネンのオリジナル製品、国内外からセレクトした生活雑貨を扱う「fog linen work（フォグリネンワーク）」代表。ほかに、南インドの布を使ったファッション雑貨ブランド「miiThaaii（ミーターイー）」も主宰。自身のスタイルブック『Simplicity at Home』（Chronicle Books刊）が出版されるなど活動は多岐にわたる。
オンラインショップ：fog linen work｜フォグリネンワーク
※下北沢にある店舗「fog」は現在臨時休業中。
関根さんの「おうち」
1F ゲストルーム、駐車場
2F リビング、ダイニング、キッチン
3F ベッドルーム、書斎、バス&トイレ
屋上
ゲストが過ごしやすい部屋とは
―現在、建築家の夫・大橋さんが設計した都内の一軒家で、夫婦＋愛猫と共に暮らす関根さん。谷とは日頃からさまざまな情報交換をしたり、過去にはインドへ一緒に買い付けに行ったりしたこともある間柄です。
前編では、リビング&ダイニングをご案内いただきました。続いてご案内いただいたのは、1階のゲストルーム。
窓から自然光がたっぷりと入るゲストルーム。約21平米あり、広々とした空間だ。
関根さん(以下、敬称略) ゲストが家主に気を遣うことなく過ごせるように、玄関を通らずに外出できるようなつくりにし、シャワーとトイレがついています。最初はインドの取引先の方、次にスウェーデンから4人家族が遊びに来てくれました。その後も（コロナ禍以前は）しょっちゅう国内外から知人、友人が遊びに来てくれていましたね。
谷 こだわりのゲストルーム、とても居心地のいい空間だなぁ。この天井のエアコンの吹き出し口も、潔さがあっていいですね。
壁に埋め込まれたエアコンの吹き出し口。
関根 断熱材がたくさん入っているからなのか、あまりエアコンを使うことはないようですね。
谷 窓もペアガラスですしね。空間は飾らないラフな雰囲気ですが、機能面は過ごしやすいようにきちんと設計されていて素晴らしいですね。
部屋の隅に置かれているのは、小学生の時から使っている松本民芸家具のライティングビューロー。
ベッドリネンはすべて「fog linen work 」 のもの。空間やカーテンとマッチした絶妙な色合い。
ベッドの脇に敷かれたマット。取引のあるリトアニアの工場の方が新築祝いに作ってくれたものだそう。
思わず真似したくなる、文庫本の並べ方
―３階のベッドルームへ移動。
谷 （左サイドにある本棚を見て）文庫本も、ブックカバーを全部外して並べてあるとお洒落ですね。
関根 ありがとうございます。
白のベッドリネンは「fog linen work」のもの。
ブックカバーを外して並べられた文庫本。
谷 壁のコンクリート板の継ぎ目が、ちょうど目線の高さにありますよね。視界に入ったときの印象など、大橋さんがきちんと考えてされたのでしょうね。壁と天井が同じコンクリの板で統一されているのとかも。
関根 谷さんから言われて、いま私も初めて意識しました（笑）。
谷 リネンのカーテンも、色合いがとても素敵です。そして、高い天井にカーテンレールが埋め込んであるのもかっこいいですね。
カーテンの淡いベージュの色合いと質感が、空間に柔らかさを与えてくれる。
関根さんがこだわった、窓枠とは…？
谷 ほかに、関根さんがこだわった部分ってありますか？
関根 窓枠かな。よくあるのはアルミサッシですが、わが家では木製にしています。
谷 本当だ。グレーに塗られた木の窓枠ですね。
大橋さん(以下、敬称略) 由美子さんからの要望は、「木目を見せたくない」。それで、木目が一番目立たないこのグレーを選びました。
窓枠のサンプル。手に取っているのが、採用したグレー。
ベッドルームの棚の上に可愛らしく並ぶのは、大橋さんのお祖母様がつくった干支の牛の置物。
―3階は、ほかにバスルーム、トイレ、大橋さんの書斎、ウォークインクローゼットがあります。さらにその上には屋上も。
関根 屋上では、自家菜園をしたり、洗濯物を干したり。気持ちのいい天気のときはご飯を食べたり、ビールを飲んだりすることもありますね。
洗面所。ハンガーで吊るしたミラーが素敵！
屋上に置いてあるベンチ
谷 家の中で、これから変えていきたい部分とかってありますか？
関根 あまりないかなぁ…。
大橋 壁を白く塗るとか？
関根 そう思っていたときもあったけど…、でも塗らないと思う。
谷 あんまり悩むことなく決めている感じですね。
大橋 由美子さんは、即断即決タイプだと思います。
関根 うん、あんまり悩まない。面倒くさいのかも（笑）。ほとんど、感覚で決めていますけどね。
谷 大橋さんが計算してつくり上げた空間に、カーテンやベッドリネンなどインテリアで関根さんのセンスが活かされていますよね。計算されている部分とされていない部分、それらが絶妙に混ざり合っているのがいいですね。それにしても、関根さんは本当に僕と真逆で“引き算”の方だなー。僕はいろいろと物を置きたくなってしまうタイプだから。
関根 確かにわが家は物が少ないし、減らしてしまいがち。でも、「オルネ ド フォイユ」ではいろいろ買わせていただいてますよ（笑）。
谷 ありがたいです（笑）。いや～、それにしても本当にいろいろと勉強になりました。僕もいま自宅を建てているのですが、参考にしたい部分がたくさんありました。関根さん大橋さん、どうもありがとうございました！
真ん中が現在の家の模型。今回、いろいろな案を検討した結果、二人でいいと思った形の縦と横の比率が白銀比（日本人に馴染みのある「美の比率」、特に日本で美しいとされている比率）になっているそう。左にあるのは、下北沢のお店。
取材を振り返って／谷
関根さんのお宅は、布（リネン）を使ったアイテムが多いのかなと想像していましたが、実際はそうではなかったのが意外でした…！
ただ、「fog linen work」さんのアイテムはシンプルで潔い印象があるので、そこは関根さんのお宅と共通する部分ですね。
年齢を重ねるにつれ、友人との付き合いが大切になってくるなぁと感じるこの頃。
ゲストルームや広いキッチンがあると友人たちを招きやすいですし、楽しく過ごせそうだと感じました。実は僕も関根さんの住まいを参考に、新居にもゲストルームを作っている最中。いろいろと学ばせていただきました！
writing／rie suzuki
photo／satoshi shirahama
