南ドイツに住んでいます。
海外暮らし、いいですよね。
外国に行くのは、ちょこっとハードルが高いこの頃ですし、
海外の風を運んできてもらいましょう。
チノは、南ドイツに住んでいます。
海外暮らし、いいですよね。
外国に行くのは、ちょこっとハードルが
高いこの頃ですし、
海外の風を運んできてもらいましょう。
ドイツ在住スタッフ・チノ
07「マイバウムとシュパーゲル」
「マイバウム」って知ってますか?
ドイツの町や村を訪れると、中心の広場や教会の近くなどにMaibaum マイバウムと呼ばれる木の柱が立っています。 その土地によって姿形に違いはあるのですが、バイエルンでは青と白でペイントされ、左右に飾りが付いているものが一般的です。 観光地の看板のようにも見えますが、古くからの風習により立てられているものなのです。
ミュンヘンのヴィクトアーリエン市場にあるマイバウム。
マイバウムは「5月の木」という意味。その名の通り、5月1日にマイバウムを立て替えるお祭りが各地で行われます。(毎年立て替えるタイプと、数年に一度のタイプがあります。)古くはゲルマン人の樹木信仰に起源があるとの説もありますが、難しいことを抜きにしても、村の真ん中に高い柱を立てよう!という欲求はなんとなくわかる気がします。
20〜30mもある木を森から切り出して運び、立てる力仕事ということもあり、準備や祭りの運営はその地域の青年団が担っていることが多いです。
郊外の地区に立つマイバウム。お祭りの準備をしてました。
こちらはオーストリアの山で見かけたマイバウム。
樹皮を剥いだ木肌のままで塗装はなし。赤と白のリボンで飾られています。これは毎年立て替えるタイプだと思います。
準備期間にも面白い風習があって、それは保管してあるマイバウムを、近隣の地区同士で盗もうとするというもの。そのため、住民たちは5月1日まで交代で番をして、マイバウムを見張ります(見張りという名目の連夜の飲み会でもあるのですが)。
盗むといっても、こんなに長くて重いものを運び去るのは至難の業なので、タッチして宣言したら盗んだこととするとか、村の境界線を越える前に見つかったら無効とか、その地域ごとにルールや掟が決められています。若者の悪ふざけのようなノリもありつつ、でもメンツにかかわることなので一応真剣なようです。もしも盗まれてしまったら、相手と交渉して、ビールや食べ物と交換、というような条件で返してもらうことになるのだそうです。
そして5月1日。昔ながらの方法では、丸太のつっかえ棒をいくつも当てがって、人力で徐々に柱を立ち上げていきます。現在では安全面や人手不足でクレーンを使う場合も多いです。
無事立てられたら、その周りでダンスが披露され、お祭りが開かれます(町内会のお祭りといった感じのローカルな雰囲気のものです)。
〈 ミュンヘン近郊の町・ハールの五月祭 〉
8年ぶりの立て替えだそうです。
立てる前のマイバウムに、神父さんが聖水を散布。
ブラスバンドが演奏する中、クレーンでゆっくりと持ち上げていきます。
信号機と街灯がギリギリの位置に...
これを人力でやるとしたらとても大変そう。
クレーンでも30分くらいかかりました。
いわゆるメイポールダンスです。リボンをもって棒の周りを回って踊ることで、リボンを編み込んでいきます。
いろいろと興味深い風習ですが、マイバウム自体はそこまでスゴイものでもありません。見た目の立派さを目指していないわけではありませんが、それよりも立てるという行為とそれを更新していくという点が大事なのではないかと思います。
こうした風習や祭りを通して地元への愛着を深め、文化を継承していくというのは、どこの土地にも言えることかもしれませんね。
さて、5月といえばシュパーゲル(白アスパラガス)のシーズン。市場や路上のスタンドに白いアスパラガスが山盛りに並び、通り掛かるたびに買おうかなぁ〜と誘惑されます。ドイツの農業で作付け面積が一番大きいのがアスパラガスなのだそうで、ドイツ人のアスパラガスに対する偏愛がわかりますね。
「白いゴールド」とも呼ばれるシュパーゲル。太さや形の良さなどによってクラス分けされています。野菜類としてはお値段高めですが、この時期だけのものなのであまりケチらずに...と思うものの毎回ちょっと悩みます。
有名な産地は各地にあって、鮮度の点から住んでいる所の近くのものが好まれます。
「無料で剥きます」の看板。剥く作業は手間なので、すぐ食べる場合は助かります。
先っぽは剥かなくてもいい、一番いい部分。品質はいいのに折れたり短かったりしたものを、救済しているのかもしれません。
新鮮なものはこすり合わせるとキュキュっと音がします。頭が開いていないものを選ぶのもポイント。
食べ方としては、シンプルに茹でてオランデーズソースを掛けるのが定番で、そこに茹でたじゃがいもやハムなどを付け合わせます。自分は新鮮なシュパーゲルを買ってきたら、まずはこの食べ方。
剥いた皮や茹で汁も良い出汁になり、それでスープやリゾットを作るのも美味しいですよ。 そのほかマリネサラダやグラタンなど、いろいろなアレンジができますが、できるだけシュパーゲルそのものの風味を感じられる料理法がいいですね。
シュパーゲルがメイン。
「さくらんぼが赤くなったらアスパラガスはおしまい」という言い習わしがあり、アスパラガスの出荷は6月24日の聖ヨハネの日をもって終了します。