09「クリスマスに何する?何食べる?」
今年もまた、クリスマスが巡ってきました。このコーナーでドイツのクリスマスの話題を取り上げるのも、今年で3回目になります。
この記事を書いている今は、第4アドベントを過ぎたクリスマス直前。最後の買い出しに繰り出す人、帰省する人など、せわしない空気が街中に漂っています。
これがクリスマス当日ともなると、打って変わってシーンと静まり返ってしまいます。ドイツでは12月25日と26日の2日間がクリスマスの祝日なのですが、ドイツ人はいったいどのように過ごしているのでしょうか?
クリスマスマーケットや街の様子は目にする機会がありますが、家庭でのクリスマスとなると一気にプライベートな世界です。実際に体験できるのは、ドイツ人のパートナーがいる方や、ホームステイ経験者など、限られた人だけかもしれません。
映画やドラマで見るような、典型的なイメージというのはあるのですが、いろいろ話を聞いてみると結局のところ「家庭ごとに、それぞれのクリスマスがある」というのが実情のようです。
自分は、ドイツのクリスマスは日本のお正月に相当するのだなと思っています。具体的な宗教や風習は違えど、家族の年間行事という位置付けでは似ている気がするのです。
自分が見た・聞いたドイツのクリスマス当日の様子をちょっとご紹介しますね。
クリスマスが近づくにつれ
市場の行列も長くなります...
クリスマスマーケットも
クリスマス当日はお休みです。
12月24日
クリスマスイブは、お店はお昼までで閉まってしまうところがほとんど。
直前は特に混雑するので、できれば早めに食材の買い出しは済ませておきたいところですが、お祝いの日の食事ですからできるだけ新鮮なものを調達したいですよね。丸ごとのお肉などは、予約しておかないと前日には手に入らないこともあります。いつどこに何を買いに行くか、毎年悩まされます。
教会の広場のツリー売り場。
丸い筒はツリーをネットに包む道具。
生の木のツリーを家の中に立てて飾り付けをするのはクリスマスイブ、というのが正式なのだそうです。でもせっかくなのでもう少し早くから飾っている場合ももちろんあります。
ツリーの下に用意したプレゼントを開けるのも、イブの夕食前後です。小さな子供がいるお家では、置くタイミングが難しそうですね。ちなみに南ドイツでは、プレゼントをもたらしてくれるのはサンタではなくクリストキントという天使です。
クリスマスイブの夕食に何を食べるか?ですが、アンケートによると一番多いのが「ウィンナーとポテトサラダ」という声。つまり、ほぼ普段の夕食と変わりません。イブはまだ質素に厳かな気持ちで、ということなのでしょうか(日本の年越し蕎麦みたいな気分?)。
それにしても、茹でただけのウィンナーをクリスマスイブに食べると聞いたときは、正直驚きました。フランスがイブに豪華な食事を楽しむのとは対照的で、いかにもドイツらしいですね。
そのほか、ホームパーティで定番のラクレットやフォンデュなどもクリスマス期間よく登場します。
カトリックの教会では深夜近くにミサがあるので、敬虔な人は参列します。
12月25日、26日
家族構成や親戚付き合いによって規模はさまざまですが、家族・親類が集まるのは25日や26日です。クリスマスが2日間あるので、カップルの場合、近場なら両方の実家を訪れることも可能ですね。
飲みながら、おしゃべりしながら、食事を楽しみ、テーブルに座っているのが疲れたらソファーに移動して... あるいは子供がいればゲームをしたりして過ごします。
実家に帰ると意外とすることがなくて、まったりしてしまうという場合が多いのもお正月に似ているかも。ずっと家にいて食べてばかりなので、新鮮な空気を吸って腹ごなしをするために、散歩に出かけるのも定番の過ごし方です。
ガチョウのロースト
シナモン、クローブ、タイム...
クリスマスの料理で一番人気なのは、ガチョウやカモのローストです。大人数なら丸ごと1羽をオーブンで豪勢に、少人数ならもも肉が便利。シナモンやクローブなど、スパイスをいっぱい使うとクリスマスの香りがします。
上の写真の付け合わせは、クネーデルというお団子。ソースのあるドイツ料理に添えられることが多いです(ドイツ料理はだいたいポテト、パスタ、クネーデルのうちのどれかが付け合わせになります)。
鹿のフィレ肉
鹿肉のグラーシュとシュペッツレ
鹿肉などのジビエも、普段と少し違ったご馳走として選ばれます。
写真右の鹿肉のグラーシュのつけあわせは、シュペッツレというパスタの一種です。ジビエ系には赤キャベツやベリーなど甘味が添えられます。
魚料理はそれほどポピュラーではないですが、コイをクリスマスに食べる習慣が一部にあります。お魚屋さんにコイが並ぶのはこの時期だけ。切り身は買ってみたことがありますが、一尾は勇気が入りますね。
以上はあくまで典型的なドイツ料理の場合ですが、もちろん決まりはないので、毎年グルメなメニューに腕を奮う人もいれば、クリスマスはコレ!と同じ料理を作り続ける家もあることでしょう。
12月27日からは基本的に平常に戻りますが、クリスマス期間は1月6日の公現祭までと考えられていて、この時期に長期休暇を取る人も多いので、クリスマス気分が抜けるのは1月6日以降です(これもお正月と似ていますね)。
以上、自分の知っている範囲でドイツのクリスマスをご紹介してみました。プロテスタントの多い北部などではまた違うかもしれません。
みなさん、どうぞ良い年末年始をお過ごしください。
おまけ
木型を使ってスペクラチウス(スペキュロス)を作ってみました。スペクラチウスはスパイスの効いた薄くてシャリっとしたクッキーで、いろんな型押し模様がついているクリスマスクッキーです。
ちょっと歪んでしまいましたが、意外と細かな模様まで出て楽しいので、もっと木型を集めてみたくなりました。
ドイツ在住スタッフ・チノ